Taxation Times

NBFCとTDS

Direct Tax - Borrower TDS Responsibilities Compliance Guide FY 2025–26

Introduction

by Anjali Darak
by Anjali Darak

Manager - Direct Tax

インドではノンバンク金融会社(NBFC)が、個人や企業に対して幅広い分野で融資を行う重要な金融仲介機関として台頭しています。こうした役割の拡大に伴い、政府は税務コンプライアンスの基準を強化しており、特に利子支払いにかかる源泉徴収(TDS)を定めた所得税法第194A条のもとでの規制が厳格化されています。 本記事では、NBFCに対するTDSの適用範囲、遵守すべき要件、最近の改正点、そして実務上の課題について包括的に解説します。

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UJA Tax Team

2025年9月作成

ノンバンク金融会社に対する源泉徴収税の適用:2025–26年度のための包括的ガイド

インドの進化する金融環境において、NBFCは、従来の銀行のサービスが十分に行き届かない個人や企業への信用格差を埋める重要な役割を果たす存在として台頭してきました。その柔軟性、広範なネットワーク、革新的な融資モデルは、中小企業、消費者金融、農村金融など、多様な分野において不可欠な存在となっています。

しかし、この影響力の拡大に伴い、特に税制分野における規制・監督が強化されています。特に懸念されているのが、NBFCへの利息支払いに適用される源泉徴収税(TDS)の適用範囲です。銀行や一部の金融機関は所得税法第194A条の免除対象ですが、NBFCはTDS規定の適用対象であり、借主は利息支払いに際して、税金を源泉徴収し政府に納付する義務があります。

本記事では、NBFCに対するTDSに関する法的枠組み、遵守要件、実践上の課題、および2025~26年度における最新の動向を詳細に解説し、この複雑な領域をナビゲートします。

法的根拠:所得税法第194A条

所得税法第194A条は、インド居住者に対する利息の支払い(有価証券の利息を除く)に対してTDSを課すことを定めています。銀行、保険会社および特定の機関は免除されていますが、NBFCは、受け取った利息に対して10%の税金が課されるため、利息を支払う借り手が源泉徴収し、政府に納める必要があります。

主な適用ポイント:

項目

内容

支払元

個人(監査対象)、HUFs(※)、企業

支払先

RBIに登録されているNBFC

所得の種類

利息(有価証券を除く)

閾値

10,000 ルピー(一般), 50,000ルピー (銀行から借りた高齢者), 40,000   ルピー(銀行から借りた高齢者以外の借主)

TDS Rate

10% (PANあり), 20% (PANなし)

※HUFs: ヒンドゥー教の共同家族。ヒンドゥー法に基づく「一つの家族単位(共同体)」。家族全体で財産を所有・管理する仕組み 

最近の改正(2025年4月1日施行)

財務法2025により、第194A条に基づくTDSの閾値が改定されました。

  • 高齢者: 100,000ルピー (銀行、協同組合、郵便局への支払い)
  • それ以外: 50,000ルピー (銀行、協同組合、郵便局への支払い)
  • 一般納付者(NBFCsを含む): 10,000ルピー

この変更は、コンプライアンスの簡素化と課税対象の拡大を目的としています。

借り手の遵守要件

NBFCへの利息を支払う借り手に対して、TDSに関する手順が以下のように定められています。

プロセス:

  1. TANの登録: TAN(源泉徴収番号: Tax Deduction and Collection Account Number)を取得する
  2. 利息の特定: EMI(Equated Monthly Installment:分割返済)の利用者は、ローン返済計算表を使って、分割払いの利息部分を元本と分離する
  3. TDSの控除: 利息の10%を計算し、返済時に控除する
  4. TDSの納付: 毎月7日までに政府に納付する
  5. 申告書の提出: 四半期ごとにTDS申告書(Form 26Q)を提出
  6. 証明書発行: 税額控除請求のために、NBFCに Form 16Aを提出

実施上の課題

明確な法的義務があるにも関わらず、実務面で次のような課題に直面しています。

  • EMI支払いポータル: 多くのNBFCのEMI用の支払いポータルでは、総額での支払いしか受け付けず、利息部分からのみTDSを差し引くことが技術的に難しい
  • キャッシュフローへの影響: そのため、借り手はEMIを全額NBFCに支払い、さらに自己資金からTDS分を政府へ納付する必要があり、財務的な負担が増える
  • 会計上の誤り: 元本と利息の区分けを誤ると、TDSの控除が誤って行われる可能性がある
  • NBFC側の反対: 一部のNBFCはTDS控除を認めず、源泉徴収なしの全額支払いを要求するケースがある

非遵守が引き起こす懸念事項

TDSの控除または納付を怠ると、以下の結果を招く可能性があります:

  • 利息費用の否認:利息の最大30%が、所得税法第40(a)(ia)条に基づき損金算入を認められない場合がある
  • 罰金および利息:第201(1A)条および第234E条に基づき罰金や利息が課される可能性がある
  • 刑事訴追:故意の不履行と認定された重大な場合には、刑事訴追の可能性がある

ケーススタディ: NBFCからの事業ローン

ある会社が12%の利息で500万ルピーを借り入れたとしましょう。

  • 年間利息: 600,000ルピー
  • TDS (10%): 60,000ルピー

TDSが徴収されていない場合

  • 罰金: 60,000ルピー
  • 利息: 毎月1~1.5%
  • 控除不可: 600,000ルピーが控除不可となり、税負担が増す可能性があります

コンプライアンス簡素化のための政府の施策

TDSコンプライアンスを簡素化するため、政府は以下の措置を講じています:

  • 源泉徴収税のWebページ(TRACESForm 26ASなどのデジタルプラットフォームの機能強化
  • TDS証明書の自動生成を可能に
  • 非申告者に対する第206AB条および第206CCA条といった負担の重い規定の廃止

まとめ

第194A条にNBFCが適用対象として加えられたことは、インドの税制における重要な変化となります。これは透明性と説明責任を促進する一方で、借り手に対して運用上の課題も課すことになります。企業は、罰則を回避し税務コンプライアンスを維持するために、強固なシステムを導入し、法改正の最新情報を把握し、積極的にTDS義務を管理する必要があります。