Taxation Times

非居住インド人の税務

NRI Taxation – Recent Changes and Planning for FY 2025-26

Introduction

by Anjali Darak
by Anjali Darak

Manager - Direct Tax

インドの納税シーズンが本格化する中、在外インド人は、2025-26年度の最新の税制規制、申告要件、節税戦略に細心の注意を払う必要があります。近年、インドの所得税当局はコンプライアンス規定を厳格化しており、各国間の情報共有も進んでいるため、在外インド人がインドでの納税義務を軽視することはもはや許されなくなっています。

今月は、「在外インド人の税務ー最新動向と今年度の税務プランニング」をお届けします。読者のみなさまのお近くにいるインド国外のンド人にも共有していただけると幸いです。

本記事が、みなさまのお役にたつことを願っています。この記事に関するご意見などがありましたら、info@uja.inまで、お気軽にご連絡ください。

UJA Tax Team

2025年7月作成

在外インド人の税務ー最新動向と今年度の税務プランニング

グローバル化の進展により、多くのインド人が海外で生活・就労・投資を行っている現在、在外インド人は、インドと海外の両方で複雑な税務義務に直面しています。インド所得税庁は、特に海外所得、資産開示、送金に関して、コンプライアンスの徹底を強化しています。

2025-26年度の所得税申告(ITR: Income Tax Return)シーズンを迎えるにあたり、在外インド人が最新の税法改正、報告要件、そして節税戦略について正確な情報を把握することが極めて重要です。居住者判定ルールの改正や、より厳格になった海外資産の開示義務、外国税額控除を受けるためのForm 67の重要性など、在外インド人は慎重に税務対応を行う必要があります。

この記事では、在外インド人の課税における最新の変更点、今年度のコンプライアンスと税効率の維持に役立つ実務的なアドバイスを解説します。

※インドでは年度の表示にFY(Financial Year)とAY(Assessment Year)があります。FYは実際に所得を得た期間を示し、AYは申告・納税をする年を示します。FY 2024-25は、2024年4月1日から2025年3月31日までを指し、FY 2024-25の所得に関して、AY 2025-26 (2025年4月1日から2026年3月31日まで)で申告・納税します。

FY 2025-26年度に在外インド人と判定される条件とは?

税制を理解する前に、まず居住ステータスを確定する必要があります。これはインドでの課税対象範囲を大きく左右します。

以下のいずれかに該当する場合、在外インド人とみなされます:

  • FY 2025-26年にインドに滞在した日数が182日未満
  • 過去4年間でインド滞在が365日未満、かつ当該年度に60日未満の滞在

ただし、インド国民やインド系移民(PIO: Person of Indian Origin)がインドに一時帰国する場合、60日の制限は所得水準に応じて120日または182日へと延長されるという近年の法改正があります。

在外インド人が知っておくべき最新変更点(2025年時点)

所得税申告書のSchedule FAにおける開示義務の厳格化

在外インド人がインドの税務上の居住者となる場合は、外国資産や口座をSchedule FAで開示する必要があります。これは、その年の一部期間のみ居住者である場合にも適用され、海外の銀行口座、ESOP(従業員持ち株制度)、株式、不動産なども報告対象となります。

未開示の場合、「ブラックマネー法(Black Money Act)」に基づき、年間最大 100万ルピーの罰金が科される可能性があります。

外貨送金に関する源泉徴収税(TCS)ルールの更新

自由送金制度(LRS)の下では:

  • 教育・医療目的を除き、100万ルピーを超える送金に対して20%のTCSが適用されます。
  • PAN未保有者の場合でも、送金額が100万ルピーを超えると、20%のTCSが適用されます。
  • 在外インド人がインドに資金を送る場合は一般的にTCSの対象外ですが、送金元と受取人の分類が正確であることが重要です。

二重課税回避 – Form 67の提出が必須

国外で課税され、かつインドでも課税される(例えば非通常の居住者としてグローバルタックスなど)場合、外国税額控除(FTC)を受けるには:

  • ITR提出と同時またはそれ以前にForm 67を提出すること
  • 外国で納税した証明書類の提出

AY 2025-26年度の改訂ITRフォームのポイント

新フォームでは以下が強化されています:

  • 海外所得の開示強化
  • 不労所得と労働所得の分離記載
  • 非通常居住者に対するPANとAadhaarの紐づけ義務化

FY 2025-26年度の税務対策

適切なITRフォームの選択

在外インド人が通常使用する申告フォームは以下のとおりです:

  • ITR-2:給与所得、キャピタルゲイン、不動産収入がある場合
  • ITR-3:インド国内に事業所得がある場合、またはその他の該当ケース

不適切な申告フォームを使用すると、欠陥のある申告として通知を受ける可能性があります。

二重課税の回避

インドと居住国との間の二重課税回避協定(DTAA)を活用しましょう。

関連するすべての所得を正確に開示し、Form 67 を使って税額控除(外国税額控除)を申請してください。

インドでの投資の管理

  • NRO(Non-Resident Ordinary)口座の利息は課税対象であり、30%のTDSが適用されます。
  • NRE(Non-Resident External)口座およびFCNR(Foreign Currency Non-Resident)口座の利息は、在外インド人のステータスを維持している限り非課税です。
  • 資金を合法的に本国送金し、申告書に正しく記載することを検討してください。

インドでの不動産売却

  • 長期譲渡益は、インデックス調整なしで12.5%、インデックス調整ありで20%の税率で課税されます。
  • 購入者は、対応する税率でTDS(12.5%または20%)を源泉徴収する必要があります。
  • DTAAにより譲渡益に対する優遇措置がある場合もあります。

インド滞在日数の管理

年間120日または182日を超えると、居住者として扱われ、世界所得がインドで課税対象になる可能性があります。滞在日数を管理するトラッカーを使って、計画的に日数を調整しましょう。

まとめ

インドにおける在外インド人への課税は、デジタルによる監視の強化、国際基準との整合性の向上、そして情報開示の厳格化が進んでいます。申告期限や罰則も厳しくなっている中で、積極的にコンプライアンスと税務対策に取り組むことが重要です。 
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